ども!テル(@Teritter)です。

このままマンションを買っても良いんだろうか?リスクとかないのかなぁ。
マンションを買ったんだけど、ローン完済まで支払いができるか心配。
といった疑問に答えます。
本記事の内容
- マンション購入の試算表から分かる不動産屋のスタンス
- マンションの補修、建て替えに対する誤解とは
この記事を書いている僕は、サラリーマンのかたわらアパートを貸し出す不動産賃貸業を行っており、結婚などを機に退去して家を購入される方をたくさん見送ってきました。
部屋を借りている時は大家がその家にかかるリスクを全て負うわけですが、家を買うということはそのリスクを自身で背負う必要があります。
退去する方は新居について不動産屋の情報を元にご自身で検討して決断していると思うのですが、買いたい気持ちが先行してリスクについてしっかり理解されているか非常に疑問に思っています。
特に、マンションのデメリットは通常の戸建てに比べて大きいため、リスクについてしっかり検討が必要です。
マンションを購入しようと悩んでいる方、不動産屋さんから様々な後押しがあったと思います。もしくはマンションを購入した方、今後のローン支払いや修繕費、マンションの建替えなど気になると思います。
不動産投資家でもない限り不動産を買う機会は通常1、2回なので、ひと呼吸おいて冷静になり、今一度リスクについて考えてみてほしいと思います。
本記事では、不動産屋さんの話を聞いているとマンションって良いことづくめでリスクなんてあるんだろうか?と思っている方。マンションを既に持っている方向けに、そのリスクについて分かりやすく説明します。

後悔しないためにもリスクはしっかり押さえておきましょう。
マンションを持っている方でそのマンションを終の棲家と考えていない方は、売却時の想定金額によって今後の進め方が変わります。
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マンション購入の試算表から分かる不動産屋のスタンス
不動産屋さんも生活があるので、『どうやってマンションを売るか?』という考えが根底にあります。
もちろん慈善事業ではないので当たり前だと思いますが、親身に話を聞いてくれる様子から、『この不動産屋さんは私の人生を考えてくれている。』と思う人も少なくないと思います。
この章では実際に僕がマンションのモデルルームを見に行った時にもらった『マンションの購入試算表』について、どんな試算がされているか、おかしなところは無いか書いていきます。
この試算表で不動産屋のスタンスが分かります。これからマンションを買おうとしている方はチェックしてみてください。
本章の内容
- 不動産屋の作るマンション購入の試算表は、どんな人でも買えるようになっている
- 便利な共用部は無い、少ない方が良い
- 新築は各社の利益がたくさん乗っており、買った瞬間に損する可能性大
問題点①:マンション購入の試算表はどんな人でも買えるようになっている
購入検討時に担当者から渡される購入試算表は、誰でも買えるようなモノになっています。
なぜなら返済比率が高くても融資が出ればOKだと思っているからです。
マンションの購入相談会に行くと必ず担当者が付き、おおよそ以下の流れで話が進んでいきます。
- モデルルームを見る
- マンション購入の個別相談
- 試算表の提示
- 金融機関相談(不動産屋のみ)
- 別日で再度打ち合わせして、意思確認
- 申し込み
だいたいこんな流れだと思います。そこで必ず以下のような試算表を提示されると思います。
これは試しに以下の条件で見積もってもらったモノです。モデルルーム訪問の参加特典に誘われてフラット行ったついでに取材してきました。
・立地 名古屋市内の駅徒歩2分
・間取り 3LDK 76.31m2 1階
・購入価格 3,399万円
・年収 700万円
・自己資金 410万円
・借入金利 0.45% 35年ローン
注目してほしいのが画像右下の『返済比率』の項目です。
試算表を見ると、返済比率13.19%なので低いじゃんと思うかもしれません。しかし、これは収入の700万円に対しての返済比率です。
これを700万円の可処分所得530万円で考えると返済比率は17.4%になり、かなり上昇します。

結構悪質ですよね。
返済比率の見えない罠
でもちょっと待った!これはひっかけなのですが、画像の返済比率の上に月々支払い項目があるではないですか。
これは以下で構成されています。
・管理費:10,400円 →施設維持や管理組合費
・修繕積立金:9,600円 →建物修繕に備えた積立
・専用庭使用料:700円 →1階なので庭の使用料が毎月かかるそう。何で?
・放送施設使用料:330円 →よくわからない
・(駐車場使用料:8,000円) →画像には記載無いけど車を置く場合は発生
・(自転車置き場使用料:300円) →画像には記載無いけど自転車置く場合は発生
駐車場も自転車置き場も全部足して+αの月額費用は合計で29,330円、約3万円です。
ちなみにこの駐車場代は機械式のエレベータのような駐車場の場合で、平面駐車場の場合は13,500円なので、5,500円UPです。(ちなみに近隣の野ざらし駐車場の相場は8,000円くらい。。。)
これらの返済とは関係のない『住んでいる限り発生する費用』を月々のローン費用と足し合わせます。
すると、月々の支払いは106,287円となり、返済比率は24%となります。

不動産屋が出してきたのよりも10%以上も上がりましたね。。。
ということで誰でも買えそうな価格を提示してきますが、細かく計算すると自由に使えるお金の4分の1を家賃の返済に回すことになります。
問題点の解決方法
試算表は、これらの月額費用とローン返済分を足し合わせたモノを、自身の可処分所得と比べて返済比率がどれくらいになるかを必ずチェックするようにしましょう。
ちなみに年収が500万円だった場合。可処分所得は390万円なので、返済比率は驚異の32%となります。
ボーナスも加味しているので、月収当たりで換算すると収入の半分がローン返済と駐車場代などの諸費用支払いに消えることになります。

恐ろしいですね。
以下にサラリーマンの平均年収に対する税額や社会保険料についてまとめていますので参考にどうぞ。

問題点②:便利な共用部は無い、もしくは少ない方が良い
マンションの共用部はいずれ使われなくなる、もしくは一部の人しか使わない場合は管理費でもめてトラブルの元になるからです。
マンションには様々なサービス、付帯設備があります。
・託児所
・ラウンジ&バー
・フィットネス
・温泉
・ゲストルーム
これらは先ほど説明したマンションに住む人がローンとは関係なく毎月支払う『管理費』でまかなわれています。
付帯設備が充実しているほど管理費は高いですが、ほとんどの付帯設備は数年もしないうちに使われなくなります。
理由は簡単で、人を雇う必要があったり光熱費がかかったりで管理費が高くなりますが、使わない人からしたら何の恩恵もないわけです。
なので、高い管理費を払いたくない人も出てきます。

そりゃそうですよね。
そして気付いたら管理組合で人の解雇、月額サービスの解約などの話が進められていきます。
問題点の解決方法
マンションの立地や間取りだけでなく、付帯設備が何か、恒久的に使われるようなものかも確認しましょう。
問題点③:新築は各社の利益がたくさん乗っており、買った瞬間に損する可能性大
マンションを買うには銀行でローンを組む人が大半だと思います。
ローンを組む時に、銀行はいくらまでならお金を貸して良いという見積りを行います。
不動産業界ではこれを評価すると言いますが、新築の場合は銀行評価額+個人の信用などで融資する金額が決定されることがほとんどです。
つまり、評価額に対してマンションの金額がずいぶん高くても融資が下りてしまいます。
マンションの評価額は以下の方法で簡単に見積ることができます。
土地の評価額
土地の評価額=路線価(円/m2)×敷地面積(m2)×持分割合(%)
こちらから路線価を調べることができます。→全国地価マップ
上記の場合だと、土地の評価額は以下のように計算できます。
10,3000(円/m2)×2300(m2)×1.7%=400万円

建物の評価額
一般にマンションは建物部分の価値の方が高いと言われています。
建物部分の計算式は以下です。
再調達価格20万(円/m2)×部屋の専有面積(m2)×(47-築年数)÷47
上記の場合だと、建物の評価額は以下のように計算できます。
20万(円/m2)×76.31(m2)×(47-0)÷47=1,500万円
マンションの評価額
土地の評価額+建物の評価額=400万円+1,500万円=1,900万円
となります。

売値は3,399万円なのにだいぶ差があると思いませんか?
この1,900万円は建物と土地の価値を銀行が評価したモノであり、実際のマンションの取引相場とは異なります。
取引相場がこれだけ高くなってしまう要因として以下があります。
- 物件を売る時の高額な広告費、販売促進費
- 建築費は通常は20万円/m2よりも高い
- 不動産屋、建築会社の利益
例えばマンションを買ってすぐに売りに出しても1割以上値段が下がります。これは各社の利益や広告費がマンションの価格を押し上げていたことを意味しますね。
なぜ銀行は融資してくれるのか?
マイホームとして購入する場合はマンション自体の価値(1,900万円)に個人の信用を足した金額が銀行から融資されることになりますが、サラリーマンの給与が高かったり、有名企業に勤めている、公務員や士業の方は信用が高いので満額融資も夢ではありません。
株を買おうと思っても融資はしてくれませんが、マイホームなら融資してくれます。なぜかと言うと、国の政策でもあるからですね。
家を買うと不動産屋、建築会社、施行会社、各種メーカー、税理士、司法書士、インフラ系会社、国が儲かります。
家は社会にお金を還流させる手っ取り早い方法なので、簡単に融資がつくということですね。

日本は内需で回っている国ですからね。
問題の解決方法
自身で見積り、予測される銀行評価額と実際の価格のギャップについて納得できるか、再度売りに出すことは無いか。十分な検討が必要です。
マンションの補修、建て替えに対する誤解とは
マンションを購入する時の誤解は次の3つです。これらは期待であって、実際には大きなリスクをはらんでいます。
本章の内容
- 誤解①:老朽化による補修はそんなに発生しないと思っている
- 誤解②:建物が古くなれば問題なく建て替えられると思っている
- 誤解③:いつでも住み替えできると思っている
誤解①:老朽化による補修はそんなに発生しないと思っている
補修は年数が経つごとに発生頻度が高くなりますし、修繕積立金を払わない人が出てくると補修ができなくなるリスクもあります。
機械式駐車場の寿命は25〜30年くらいといわれていますが、機械式駐車場の金額は1台あたり100万円以上かかります。
マンションを新築してこれくらいの年数経ってくると、以下の改修も重なり、恐らく修繕積立金もこれらに投入されるので、駐車場分は積立分では賄えなくなると思います。
- 外壁塗装
- コーキング(コンクリとコンクリの間のゴム)
- エレベータの修理、入替え
- 共用部の修繕
新築でローンを組んだ場合、まだローンを返し終わる前のはずですが、駐車場を維持していくために修繕費として入居者全員で負担しなければなりません。
そのお金が払えなかったらさらにローンを組むか、修繕に合意しない人が現れて駐車場が放置されることにもなりかねません。
機械式駐車場のリスクについてはこちらに詳しくまとめられています。
参考記事:機械式駐車場はマンションスラム化の要因になる「金食い虫」だ(ダイアモンドオンライン)
誤解②:建物が古くなれば問題なく建て替えられると思っている
マンションの建て替え事例は全体の供給量に対してほとんど無いというのが現状。マンション=建て替えできないモノと思いましょう。
マンションは未来永劫建っているわけではなく、老朽化が進むと建て替えが必要になってきます。
しかし、日本で建替えが成功した事例は国交省のデータによると約270件と、ごくわずかなんです。

参照元:国交省
また、こちらも国交省のデータですが、築40年越えのマンションは全国に72.9万戸(平成29年末当時)あります。

参照元:国交省
以下サイトによると、1棟当たり平均55戸だそうです。
参考記事:分譲マンション 規模(平均戸数)の推移(マンションデータサービス)
ということは全国には13,254棟の築40年以上の建物があり、その内建て替えられているのは270棟。
つまり、2%です。
よって、マンション=建て替えられないモノと考える必要があります。
建て替えずに、最終的には老朽化したので『マンション組合の解散=マンション及び土地の売却』を選択するマンションも増えると思います。
その時にマンションに住んでいた人の手元に残るのは、土地分のお金だけ。先ほどのケースだと、土地値は400万円でしたよね?
そこからマンションの取り壊し費用(莫大なお金がかかる)を差し引いたくらいのスズメの涙くらいしか手元に残らないと思います。

マンションは出口がないです。
誤解③:いつでも住み替えできると思っている
上記の立て替え、修繕の問題がありますので、住み替えも多少の出血を伴う可能性もあります。
しかし、手放す場合はタイミングが早ければ早いほど良いと思います。
すでにマンションを持っている方は、修繕リスクが段々大きくなってくる前に一度いくらで売れそうか見積もってみるのはいかがでしょうか。
イエウールは、国内最多の1300社以上の有力会社が、あなたがお持ちの不動産を査定してくれます。
一軒家、マンション、収益不動産など、色々な種類の不動産で見積り可能になっています。
まとめ
POINT
- 購入の試算表はどんな人でも買えるようになっている
- 便利な共用部は無い、もしくは少ない方が良い
- 新築は各社の利益がたくさん乗っており、買った瞬間に損する可能性大
- 老朽化による補修は結構発生する
- 建物が古くなってもほとんどの場合、建て替えはできない
- いつでも住み替えれるわけではない
外壁塗装やエレベーターの修理など大きな修繕や建て替えのリスクが高そうならば、問題が明るみに出る前に売り抜ける必要があります。
まずは査定だけでもしておいて、相場感だけでも知っておくというのも手だと思います。

後悔しないようこれらのリスクはしっかり覚えておきましょう。
ではまた!
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